私の考える『いい歯医者』とは

私は‘いい歯医者’ と ‘うまい歯医者’ とは違うと思います

皆さんの言う ‘いい歯医者’ の条件は何でしょうか?
    やさしい
    痛くない
    混んでいる(はやっている ---とも言いますね)
    歯を抜かない
    一連の治療が早く終わる、安い
    待たせない
    説明してくれる

多分、このようなイメージなんだと思います。以下に私の意見を記します。

■やさしさについて
誰だって、優しくないより優しくされた方がいいに決まっています。
しかしながら、友人やサービス業の給仕してくれる方のような優しさを歯医者に求めていらっしゃいませんか?。
歯科医にはひたすら 「いい治療」を求めて欲しいです。
そのためには「いい治療」とは何か?知識を持たなくてはいけないと思います。

■痛みについて
歯科治療はその性格上、全く痛みを感じずに治療をまっとうすることはかなり難しいと思います。
たとえば、根っこの治療をするときに、根っこの先端が正常な組織であるのならば、そこをつつくと若干の痛みを感じます。その痛いと感じたところまでをきっちりと治療していかなきゃあいけないからです。痛みを感じる直前で止めることなんてできません。逆にそこまで到達させなければ、痛みを感じることはありません。
「十分な治療」のためには、手探りになってしまい申し訳ありませんが「痛みの壁」は必要だと思います。


■院内が混んでることについて
100メートルを5秒で走ることは可能でしょうか?
一日に何十人も治療するということはそういうことです。
歯科治療というのは、単純ですが精密さがすごく要求されるのです。ですから診療中は、息を凝らして治療対象の歯をジッと見据えているのです。

歯科医も人間ですから、次から次へと患者さんがくれば焦りもします。
歯科医が不足していた時代ならいざしらず、今は対症療法の時代ではなく、計画診療の時代です。 15分で済む手続きもあれば、2時間とらなきゃいけない場合もあるのです。ですから予約をとって診療しているのです。
だけど、イタイイタイ、と言って患者さんが飛び込んできたらやむを得ません。治療中の患者さんに待ってもらってでも処置します。
いい歯医者は混ませませんね。いくらでも患者大歓迎、と言うことはないでしょう。


■歯を抜かないということ
歯の治療というのは10年後を見据えて行わなくてはいけません。
これは10年でダメになることを意味してはおりません。10年間問題なく機能するということです。
2,3年でダメになり、やり直さなきゃいけなくなるのなら、そんなのは治療じゃないですよ。
数年しか信頼できないとか、それがあることによって隣の歯(隣在歯)に悪影響を及ぼすことが予測できる場合は、迷わず抜くことになります。


■早くて安いということ
はやい、やすい、うまい。これはどこかの牛丼屋の謳い文句ですね。
しかし歯科治療においては当てはまりません。
なぜなら治すのはあくまで患者さんの治癒力なんですからね、待つのも治療なんですよ。
いかなる場合も、慌てるとロクなことはありません。
ゆっくり、じっくり、そして万全に行うのが、‘いい治療' だと思います。
そして、いいものはそれなりの値段がするものですよ。それが資本主義じゃないでしょうか。


■待たせるということ
歯科治療では、行うのも受けるのも人間であって機械ではありません。
時間通りに事が進まないことも多いですねえ。予定より早く終わることもあれば、遅れることもしばしばです。
急患が入ってしまったりすればなおさらです。歯医者で待たないことはなかなか難しいでしょうね。しかし、待たせるのならそれなりの説明と謝罪があってしかるべきだとは思います。


■説明と同意(インフォームドコンセント)について
虫歯には進行性と停滞性とがあることとか、歯周病の定義だとか、ご存じない患者さんが多いです。
いかに説明されていないかという証左ですね。
“ここに虫歯があるから削っときますねえ”
なんて言うのは、説明でも何でもありません。単にお許しをいただいているだけでしょう。
説明と言うのは、現在どのような状況にあり、このままでは今後どうなるのか、だからどういう処置が必要なのかを明らかにし、納得してもらった上で治療にはいるということです。