歯科用CT導入の理由
身近になったインプラントの必須アイテム
インプラントが身近なものになるにつれて、一般歯科医院でも「CT」を設置する動きを見せている。歯科大学やその付属病院、一部の歯科医院に限られていて、その普及率はまだ1%足らずだが、今後インプラント現場の必須アイテムになると言われている。以前取材した三ノ輪歯科でも数ヶ月前に導入したというので大澤正夫院長に話を聞いてみた。(日刊ゲンダイ新聞記事より抜粋)
歯科用CTを導入したキッカケは?
理由はいくつかありますが、まずいえるのは、第一に診療上の必要性。今までは、主にパノラマ画像によるレントゲン写真診断で、1000本余りのインプラントを行ってきました。パノラマ画像は口腔内全体を撮れますが、二次元像なので“奥行き”がわかりません。これまでは解剖学的な常識により奥行きを推測し、インプラントを行ってきたわけです。しかし、患者さんによっては骨の破壊、吸収が厳しく、診断に迷うこともありました。
第二に利益の還元。開業当時は経営が逼迫し『月末になると通帳とにらめっこ』。一国一城の主になった喜びよりも開業したことを後悔したこともありました。しかし多くの患者さんに支えられ徐々に利益の出せる態勢になってきました。日頃から、診療で得た利益はさらに“診療に生かしてゆくべき”ものと考えています。
第三に節税対策。日本の税制では、営業利益を仕事に反映すれば税法上優遇されるようになっていますし・・・」
設置したCTについて教えて下さい
日立メディコ製CBマーキュレーです。他社に先駆け2002年に発売された最大・最高速の歯科用CTです。価格も一番高かった(定価4180万円)のですが、決め手になったのは発売から5年ということで問題点はすでに解決され尽くしている事、眼窩下から顎関節まで必要な情報が1回の撮影で(9.6秒)で得られる事、シミュレーションソフト(後述)との相性がいいという3点でした。

▲歯科用CT CB MercuRay®
右写真
高性能パーツの採用で高速撮影を実現。すべての性能に最高水準を追求し、あらゆる診断ニーズに対応する歯顎顔面用CBCTを装置した日立メディコの「CBマーキュレー」
参照:日立メディコ
http://www.hitachi-medical.co.jp/product/cbct/
歯科医の勘と経験に頼っていたインプラントから一歩前進
通常CTと歯科用CTとの違いは?
CTというのは断層撮影ですからスライス幅が細かいほどはっきりとした画像が得られます。医科用では最新のものでも0.5ミリ厚であるのに対し、私どもで今回設置したCBマーキュレーでは0.1ミリまで設定でき、3次元レベルで考えると画素数で45倍の鮮明度の違いがあります。数ミリ単位での診断が要求される歯科では、やはり歯科用CTが有利ということになるかと思います。
CTを撮れば完璧にインプラントを行うことができますか?
信頼するに足るだけの骨量があるか否か、あるいはどこにどの程度あるのかを把握することが可能になります。条件が厳しい場合でも、傾けて埋め込むことでインプラントが可能になることもあります。(インプラントは骨と癒合しますから、咬合力を長軸方向で受けなくても自分の歯ほどには問題とはなりません) CT画像上で読み込んだ情報をそのまま口の中で再現できるかどうかは別問題ですが、少なくとも手術の精度が高くなることは間違いありません。
さらに精度を上げる方法というのは?

シミュレーションソフトがあります。これは実際に入れるインプラントをパソコンの画面上で骨内に入れるという模擬手術ができるのです。さらにインプラントを入れた様子を立体的に動かして見られ、入れた後はどんな状態かをパソコン画面上で検討できるのです。
これからのインプラント治療にCTは不可欠でしょうか?
今回CTを導入したのはシミュレーションソフトを診断に取り入れたかったからで、そのためにどうしても必要でした。私も今までCTを持っていなかったわけですから手のひらを返したように「不可欠です!」とは言いにくいですが、歯科医の勘と経験に頼っていたインプラントから一歩前進と言えると思います。
CT撮影、診断料はどのように?
CT撮影は保険対象ではないので設定は自由なわけですが、撮影並びに画像診断料は無料とすることにしました。インプラント治療費を15万円にしたのも消費税を頂かないのもできるだけ多くの患者さんにインプラントを経験していただきたいからで、今後もこの治療費でやっていこうと思っています。そしてさらに安全で適切な手術が行えるよう今後も診療環境を改善してゆくつもりです。
