テックを作るのは助手?それとも歯科衛生士? いいえ、歯科医でしょう
テックというものをご存知ですか?
日本語では仮封冠、英語では temporary crown。
その頭文字をとって、我ら歯科医は 「テック」 とよんでおります。
後に被せ物をすべく、歯牙の全周を削った場合に暫定的に、最終的に被せるものに類似したレジンという樹脂にて作って被せるアレです。
歯科医はこのテックを歯科衛生士、あるいは歯科助手に作らせてしまうことが多いんです。
もちろん、彼女たちに作らせても法律違反ではありませんから、取り締まられてもいません。
法律違反でも取り締まってないことは、いくらでもありますがね。
一例を挙げると、X線撮影です。
レントゲンを撮ることを許されているのは、 医師、歯科医師、レントゲン技師だけです。
しかし、歯科医院で、助手や歯科衛生士がレントゲンを撮っていることは公然の秘密です。
彼女たちがレントゲンを撮っても、実際的には問題はないでしょう。しかし法律では禁止されているのです。
さて 話をテックに戻しましょう。
そもそも、歯科治療の目的とは何でしょうか?
いろいろな見解があるとは思いますが、私は咬合(かみ合わせ)だと思います。
失われた咬合を回復するため、あるいは咬合を守るために行うと考えています。
であるのなら、咬合理論を学んでもいない素人にテックを作らせていい筈がありません。
以前、ある歯科医が言ってました
“だって、うちの助手うまいんだもん。オレより上手いからねぇ” とね。
“うちの看護婦、腹切るのが上手いから、うちでは看護婦に腹を切らせてるんだよ”
なんて言う外科医がいますか???
ここでテックを作る目的を記しておきます。
テックを作る目的
生活歯(いわゆる神経を抜いていない歯)の歯髄保護
歯の表層より、第二層である象牙質まで削りますので、食生活によるあらゆる刺激から歯髄を守ります。また削ることにより、若干なりとも歯髄に炎症を生じますので、テックを保持させるセメントに鎮静を期待します。
根管、象牙質削面の汚染防止
この部分には無数の細管が存在し、ここはもう身体の中なのです。したがって、これらを口腔内で露出させるということは、口腔細菌による感染のチャンスを与えてしまうことになるのです。
審美性不調の防止
歯冠の形態を、被せ物がしやすいように削り込むわけですから、 歯の形態が失われますのでそのままだとみっともないでしょう。
咀嚼能力低下の防止
最終的に被せるわけですから、これがないと一時的に噛めない状態となります。
咬合接触関係の保持
歯は隣り合う歯、あるいは噛みあう歯と接触することで、その位置を保っているのです。接触がなくなれば、歯はいとも簡単に動いてしまいます。
最終補綴物前段階としての機能性、および審美性のテスト
残っている歯とのバランスとか最終的に被せるものの形態とかは、プラスティックの段階ならばいくらでも修正可能です。また、技工士が製作する上での参考となります。
支台歯形成後の歯肉の安定
最終補綴物は、基本的には歯茎との境目よりも上に辺縁がくるように被せるのが、歯周を守る立場からはいいと思いますが、前歯やポーセレン(セラミック)を被せる場合にはこの限りではありません。
通常歯肉の下1ミリ程度入れ込みます。そうしないと、長い間には歯肉が退縮し、被せ物の境目が見て分かるようになってきてしまうのです。
したがって、歯を歯肉縁下まで削ることになります。この時にいきがかり上、歯肉を傷つけることになります。形成後、傷つけた歯肉の位置までテックを被せておくと、歯肉がきれいに治ってくるのです。
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