保険治療と保険外(自費)治療
専門的なことというのは、なかなか素人には理解しづらいものですよね。
歯医者で “保険と自費はどう違うんです?” と聞くと、明確な答えがなかなか返ってこないのではないでしょうか。
“保険治療と自費治療とでは、使われる材料が違う”
とか言う歯科医もおりますが、それだけでは説明不十分でしょう。
だって材料の違いだけで5倍の治療費はおかしいですよね。材料費なんてタカが知れていますからねえ。
保険治療と自費治療とでは、考え方が全く違うと思うのです。
私は次のように考えています。
一つの大きな体系を作るには、色々なルールを決めなければなりません。
数学には定理とか定義というものがあるでしょう。その積み重ねによって一つの数学体系となるのです。 保険治療にもいろいろなルール(歯科医からは‘手かせ足かせ’ と呼ばれている)があり、ルールを踏み外すと保険治療ではなくなってしまうのです。それが自費治療なのです。
ある処置を行った場合に、誰がやっても、あるいはどんなに上手でも下手でも、頂ける治療費は全く一緒なのです。すなわち保険治療というのは、処置に対する評価であり、技術に対する評価は考えてはいません。 したがって、やってもらった処置が ‘いまひとつ’ でも、あるいは歯科医がドジを踏んで痛みが出ても、処置してもらったらその都度支払いは生じるのです。
しかし自費治療というのは、技術に対する評価、すなわち技術を買っていただくわけですから、患者さんは不満を残して終了すると言うことはないはずです。不満ならば返金するのは当然でしょうね。
『日本全国どこで治療をしても 「いい治療」 が 「安価」に受けられ、保険で出来ない治療は無い』 というのが保険治療のうたい文句です。
いいものを安く、というのは、スーパーマーケットではありえても歯科医療ではありえないでしょう。悪い治療が結果的に高くつくことだってありうるのです。
そもそも保険医というのは許可制であり、”保険医として診療をやらせて下さい” と各都道府県の窓口に届け出れば保険医となれるのです。
すなわち、
『保険医としてのガイドラインを守りますから保険治療で治療させてくれ』
ということで、そのガイドラインというのが上に示した通りなのです。
保険治療においては各々の処置に対して事細かに料金が決められており、処置を した場合に請求しさえすればお金が支払われる(多くの場合患者3割 各健康組合7割)ということになっています。
ここで断言しておきますけれども、保険治療で 「噛める状態にする」 ことは十分に可能です。
しかし保険治療を受けた結果、よりきれいに、よりうまく、より具合よく、と言うのならば、技術力の高い歯科医にやってもらう以外にはありません。
私は、保険治療は自分の宣伝だと考えています。
満足してもらって、“ああ、君の腕なら信用できるから、今度は自費で頼むよ” と思ってもらえるような治療をしています。
歯科医のなかには、“保険は所詮手抜きだよ” なんてうそぶいている輩もおりますが、
保険治療で満足を与えられない歯科医に、自費で何万も払う気になりますか?

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